写真 © Misae Hiromatsu
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上海ラビリンス

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場所
Shanghai
2010

6歳児の視野角は水平垂直方向共に大人の6割程度しかないという。面積比にすると4割以下となる。
視点の低さによるハンデを考慮すれば、その割合はもっと下がるだろう。
つまり子供が焦点を当て認識している空間は、大人のそれとはずいぶん違う。
子供は大人とは全く異なる方法で世界を見ているのである。
このインテリアの仕事は、中国で展開をする子供服ブランド「marco&mari」のフラッグシップとして
上海につくられた「幼児のためのクラブハウス」である。
ブティック、ビューティサロン、ダンスルーム、シアター、カフェ、
プレイルーム、ライブラリー、クラスルーム、レストルームなどを含めた10を超える用途で構成されている。

北京の店舗で成功した「アーチ」のモチーフを、さらに発展させて迷宮のような空間をつくり出した。
中央には4.6mの階高を活かし大きな「ドーム」を配置し、その周囲を「アーチ」で穿たれた曲面壁が巡りながら様々な場所をつくっている。
4つの曲面壁は平面的に交差したり、2階床を支える構造壁になったりすることで、
10を超える機能それぞれに必要とされるサイズやフォーム、開放性や閉鎖性などに適合し、実に様々な場所をつくり出している。
また曲面壁は垂直方向にも変化することで、ディスプレイや階段やカウンターなどの空間要素もつくり出している。
さらに「アーチ」のモチーフは、ブティックの什器や円い天井板、壁に穿たれたディスプレイ棚などでも使われている。

大小様々な無数の「アーチ」に包まれた空間。
大きかったり小さかったり、広かったり狭かったり、高かったり低かったり、見通せたり曲がりくねっていたり、どこを取っても同じ場所はない。
その場所に入っている10を超える楽しげな用途。子供にとっては、それらはどこも断片的でしかし連続的に映るはずである。
まるで迷宮に迷い込んだアリスのように、非日常的空間で忘れがたい豊かな体験をして欲しい。

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